トーキョーウジキントキ(かき氷専門ブログ)

日本(と世界)のおいしいかき氷を実食&レポートするブログです。2003年スタート、2022年に「かき氷は【夏以外】がおいしいことを伝える」をコンセプトにリニューアルしました。

天然氷でエコを意識??:三越&「四代目氷屋徳次郎」

三越各店(期間限定販売、リリース
日本橋三越本店:<第一弾>新館地下1階 7月8日〜14日/<第二弾>本館地下1階 7月29日〜8月4日 ■新宿アルコット店:8月1日〜8月31日 ■多摩センター店:8月8日〜8月21日 ■星ヶ丘店:7月30日〜8月5日 ■名取店:8月12日〜18日

食べたのは…2008年7月
主な値段は…秘伝黒蜜糖 840円

機械を使わず、自然の力(冬の寒さ)で水槽にはった水を凍らせて作る天然氷。現在日本に天然氷を作っている蔵元は、秩父・日光・軽井沢の3エリアに合計5軒しかないのですが、そのうちの3軒が日光にあるのだそうです。そのうちの1軒、「四代目氷屋徳次郎」の氷を使ったかき氷を、三越が期間限定で販売するというので、食べに行ってきました。

価格はシロップによって違い、630〜840円。店員さんがおすすめと言っていたのは、「沖縄粟国(あぐに)産きなり糖シロップ」「天然生砂糖」「秘伝黒蜜糖」の3種類で、いずれも840円のもの。私が食べたのは「秘伝黒蜜糖」、840円です。

shaved ice

おおぉ〜、なんてきれいにかいてあるかき氷なんでしょう♪ というわけで、まずは氷のアップから写真を載せてみました。紗のように薄く、軽〜くかいた氷は、口にいれるとスッと溶けます・・・が、素直に「わーい、おいしい!」と喜べなかった。

それはなぜか?お次の写真はかき氷の全景です。

Shaved ice

使い捨てのプラカップ(発泡スチロールみたいな素材)に、やはり使い捨ての木のスプーン・・・。黒蜜シロップが相当控えめにかけてあることもあって、氷の味よりも木の味のほうが勝っている(悲)。以前、銀座の福光屋で食べたときに「木のスプーンは食べにくいなぁ」と思ったのですが、ここの場合は食べにくいだけでなく、氷の味を木の味が損ねているというかなり悲しい状態。

正直、これはどうかと思います。お客の立場にしてみても、800円以上払ったかき氷がプラカップ&木のスプーンで出てきたら「えっ、こんなものなの?」って思うでしょう。こんなブログをやっていて、かき氷に高いお金を払うことにあまり抵抗がない私でもそう思うんだから、世間一般の方はもっと「高ーい!」と感じるはず。

氷はおいしくて口どけもいいけれど、高価なシロップを使っているけれど、高くて木の味ばかりする、使い捨てカップ入りのかき氷・・・。氷屋徳次郎さんは日光の氷室なわけで、天然氷のPRのためにわざわざ東京に出店してるんですよね。せっかくのいい氷なのに、かき氷がこれでは、あまりにもったいない。こんなかき氷を売っていいんですか? 氷のプロではあっても、かき氷についてはあまり研究されなかったのでは? と、失礼ながら思いました。

三越は今回四代目氷屋徳次郎と組んで期間限定でかき氷を販売することについてプレスリリースを出しているんですが、それを見るとこうあります。

日本橋三越本店では、地球環境問題を主要テーマのひとつとしている洞爺湖サミットが7月7日から始まるのに合わせて、日光天然氷のカキ氷の販売を行います。現代ではあまり知られていない天然氷の希少性・美味しさをご紹介すると共に、気象条件と密接な関係のある天然氷を使ったカキ氷の販売を通じて、地球温暖化防止のメッセージを発信したいと考えています。」

デパートの中のイートイン(イベントスペース)だから、洗うのが大変なのだろう、とは私だって思います。でも、エコをアピールしたいなら、なおさら、使い捨てのカップ&スプーンはないと思うんですよ。

なんだか今年は妙に”天然氷”絡みの記事やテレビ番組を見かける気がします(私がこの氷を食べているときも、「テレビの情報番組の取材できています、天然氷を食べているところを撮らせてほしい」と言われたのですが、お断りしました)。でも、もし「今年は洞爺湖サミットもあるし、環境問題は話題だし」という理由で天然氷を取り上げているなら、それはあまりにいやらしい。ここ数年、天然氷がとれる量はそれじゃなくても減っているだけに、下手なブームになってしまうと、本当に天然氷を求めている人に氷がいきわたらなくなってしまうのでは?と心配になってしまいます。

Nikko Tennen-kohrisyrups for shaved ice
天然氷をディスプレイしたり、かけているシロップを見せたりして、天然氷のPRブースのようになってます。このほか、氷作りのDVDも流しています(写真はクリックすると拡大します)

天然氷という話題性、さらに三越が仕掛けたということもあって、今回の四代目氷屋徳次郎のイベント出店はあちこちで取り上げられています。トーキョーウジキントキは基本的に「おいしいかき氷に出会ったらそれを紹介する」というシンプルなスタンスなので、あまり否定的なことは書きたくないのですが・・・。でもこのかき氷は、食べたあと、かなりモヤモヤした気持ちになったので、つい辛口になってしまいました。

かき氷って、これまであまりマスコミに取り上げられることもない食べ物だっただけに、市場が成熟してないんですよね。マスコミが一時的に取り上げて急にブームになったとしても、そのブームが去ったあとには誰も幸せにならないんじゃないかな・・・、なんて思うのです。

なお、私が食べたのは7月上旬で、現在はお休み中。詳しい日程は上を見ていただきたいのですが、7月29日から販売を再開し、そのあと8月は新宿や多摩センターなど三越の各店舗を回る予定です。