トーキョーウジキントキ(かき氷専門ブログ)

日本(と世界)のおいしいかき氷を実食&レポートするブログです。2003年スタート、2022年に「かき氷は【夏以外】がおいしいことを伝える」をコンセプトにリニューアルしました。

【閉店】昭和な甘味処には氷あんみつが生き残っていた:高田馬場「高野家」

高野家
東京都新宿区高田馬場2-2-3
食べたのは…2010年8月

最初から「閉店」と書き添えてブログを書くのは初めての経験です。でも、この話はどうしても書いておきたくて……。

昨年(2010年)の夏、何年も気になりながら行ったことがなかった甘味処に行ってきました。「高野家」というそのお店は、高田馬場駅を降りて、早稲田と反対側へ坂道を登っていったところにあります。大通り沿いの結構な一等地にあるんですが、昭和の薫り漂うレトロな甘味処(詳しくは後述)。店に入って壁に貼られた手書きの短冊メニューを見ると、かき氷は結構たくさんの種類があります。迷った中から注文したのはこれ。


氷あんみつ、450円。これ、意外とありそうでない(出してる店が少ない)メニューなんですよね。その名の通り、あんみつの上にかき氷がかかり、さらに黒蜜がかかっています。あんみつの寒天はぷりぷり、自家製と思われるあんこもおいしい。チェリーやみかんなど缶詰のフルーツや、もっちりした求肥がごろごろ入っています。あんみつも、ショリショリとした氷も、素朴な美味。「懐かしい〜!」と言いたくなるようなレトロなおいしさです。

で、このお店。御年80歳以上?とおもわれるおばあちゃんが一人で切り盛りしています。お店の入り口&店内はこんな感じ。

ピンク色やクリーム色のビニール地を張った椅子、色が変わった換気扇、昔ながらのテレビ……神田錦町(竹橋?)の食堂「ふくのや」を思い出します。氷あんみつをもぐもぐ食べながら、「こういうお店は貴重だよなあ。これくらいレトロなお店というと、ほかには梅屋敷の福田屋とか、茅場町の田川堂くらいかなぁ……おばあちゃん一人でやってるようだけど、頑張ってほしいなぁ」などと考えていたのでした。

さらにすごいのは入り口の食品サンプル


どのサンプルも年季が入りすぎです……でも確かに、昔の甘味処ってこういうサンプルが必ず置いてあったよね。

その後冬になり、かき氷ではなくおしるこを食べにもう一度高野家へ行きました。なにしろ、高齢のおばあちゃんが一人で切り盛りしているお店。私のあとに4人組のお客さんがやってきてひとつひとつ違うものを注文すると、見るからに大変そうなのです。「あと何年、ここのお店に来られるだろうか」などと思っていたのですが、それが私の最後の訪問になってしまいました。

今年(2011年)の2月末、閉店されたようです。

「閉店の御挨拶 八十七年間ご来店頂き、誠に有難う御坐居ました 心より厚く御礼申し上げます 高野家」

こちらのブログで閉店をお知らせする貼り紙の写真を見ることができます。87年も営業されていたんですね……おそらく、早稲田の学生や高田馬場の地元の人たちに愛されていたお店だったのだと思います。貼り紙の余白に書き込まれたお客さんたちの声は、あのおばあちゃんに届いているのかな、としんみりしてしまいました。