トーキョーウジキントキ(かき氷専門ブログ)

日本(と世界)のおいしいかき氷を実食&レポートするブログです。2003年スタート、2022年に「かき氷は【夏以外】がおいしいことを伝える」をコンセプトにリニューアルしました。

お庭でいただく、天然氷の絶品かき氷:秩父「阿左美冷蔵」

阿左美冷蔵
埼玉県秩父郡皆野町金崎27-1 電話:0494-62-1119
営業時間:10:00〜17:00、年中無休

食べたのは…2003年8月
主な値段は…野いちご/あずき/うめ酒/青りんご 各500円(2003年8月)
さくら/宇治金時 各500円(2004年5月)

 もしも「一軒だけかき氷屋さんを紹介してください」と言われたら…私はここの氷屋サンを紹介することでしょう。

 その名は「阿左美冷蔵」。日本でも数件しかないという、天然氷を作っている氷屋さんで、製造卸のほか、かき氷の小売りもしています。


五月に行ったときにいただいた、「さくら」と「宇治金時

(続きは写真たっぷり、文章たっぷりでお届けします)
 阿左美冷蔵がある場所は、埼玉県の秩父。埼玉とはいっても結構奥のほうなので、東京在住の私にとっては一日コースです。朝東京を出発、渋滞に巻き込まれながら昼過ぎに秩父長瀞に到着。
 長瀞というのは、「岩畳」で有名なところ。荒川の源流の周りに、隆起した結晶片岩が文字とおり岩畳となって広がる、関東でも有名な景勝地です。
 駅から河原沿いのところまでは土産物屋さんや食べ物やさんがちょっとした街並みを作っているのですが、夏場ということでどこでも「氷」のノボリがひるがえっていました。ノボリにはどれも「阿左美冷蔵」と書いてあります。今日の目的地である阿佐美冷蔵さんは、このあたりのお店に氷を卸しているのです。

 夕方近く、長瀞から川沿いに上長瀞へ移動。住所を頼りに「この辺かな〜?」なんて言っていたら、上長瀞の駅のそばで突然ものすごい車の行列に出くわしました。見れば古い建物沿いに車の行列は並んでおり、その建物には長瀞でたくさん見た「氷 阿佐美冷蔵」の文字が。おお、ここが目指す阿佐美冷蔵さんのようです!!


ずらっと並ぶ車の列。これがなんと全部かき氷を食べるための行列なのだ!

 車を降り、「行列してまでかき氷食べなくても〜」と言う同行者に言い訳しながら列に並びます。しばらく並ぶと、ようやく順番がやってきました。最近はテレビや雑誌で取り上げられることも多いらしく、この辺ではかなり目立つ人気スポットになっているようです。
 15分くらい並んで、農家の庭先風なところに通されました(写真)。簡単な日よけと、縁台を並べただけなのですが、こういうシチュエーションでかき氷を食べるということは滅多にないですもんね。
 周りには緑がいっぱい。井戸水の音、蚊取り線香が焚かれる縁側……「日本の夏」を具現化したような周りの景色に、知らず知らずちょっと興奮気味の私。と思ったら、私だけではなかったようです。みんな童心に返ったような感じで、目を輝かせながらかき氷を食べているのでした。


庭先から見上げると氷の暖簾が。この暖簾が目印!

こういうシチュエーションでかき氷を食べることって滅多にないですよねえ。


お水は井戸水をセルフサービスで。看板一つ取っても風流

 テーブルの上に置かれたメニューを見ると9種類。メニューの下に「蔵元かき氷はすべて氷糖みつを使用しております」と小さく書いてあり、シロップは自家製とのこと。宇治金時は秋のメニューと書いてあったので、私は「のいちご」を注文しました。同行者はあずき、うめ酒を注文していたので、ちょっと味見させてもらうことにしました。あ、値段はどれでも500円です。

 ほどなく、かき氷がやってきました。梅酒は器の下に梅酒を入れて、その上に氷をかいたもの。のいちごは器の下にシロップ、その上に氷、さらに上にシロップをかけ、さらに氷を足しているようです。あずきも氷の途中にも載せているため、さらに上にもかけていたようでした(自分で食べたのではないため、自信なし…)。


手前から、のいちご、あずき、梅酒。ビンの練乳はかけ放題

 サイズは中の大というところでしょうか。梅酒はちょっと小さめでしたが、私の頼んだのいちごは結構ボリュームありました。練乳がビンで付いてきて、好きなだけかけるようになっています。
 なんだか変な表現ですが、氷を口に含んだ瞬間、パリパリプチプチとしたあとスッとたちどころに溶けていくような食感です。パリパリ、ふわふわなかき氷はありますが、こういう氷は初めて…。かきかたが特殊なのでしょうか。それとも氷が硬いのでしょうか。
 で、氷がおいしいのです。ホントに。町中で食べるかき氷だって、氷屋さんの氷を使っているはずで、その辺の水道の水で作った氷より断然おいしいのですが、ここの氷はさらにおいしい。氷自体がおいしく、しかもシロップの味を引き立てるのです。のいちごも梅酒もかなりさっぱりした味のシロップだったのですが、透明感のある氷の味との相性がよく、お互いの味をひきたてあうので物足りないことがありません。うーん、天然氷というのはこういう味だったのか…。
 「かき氷なんてあまり好きじゃないのよ、頭痛くなるし、何年も食べてないし」と最初はかなり腰が引けていた同行者も「あら、おいしいじゃない」とビックリした顔で氷あずきをぺろりと平らげていました。


こちらは青りんご。こちらもあっさり味です


 そういえば練乳もあっさり味でおいしかった。どちらかというと練乳の強い甘さが苦手な私ですが、思わずたっぷりかけて食べちゃいました。ああ、思い出してもおいしかったな…。
 食べ終わってホッとしたところで周りを見回すと、「黒みつきな粉」の文字を発見。うぁぁ〜、黒みつ食べたかった…後悔。というか、また食べに来ればいいのか…?ほかにも、「昔のきゃらめる」とか食べてみたいし(ニヤ)。


ここでかいてます。天然氷お持ち帰り500円もあり


愛犬フクちゃん。お客さんの間を大人しく歩いていました。かわいい…


 夏だけ営業なのかと思っていたら、ほかの季節もやっているようです。ご主人は氷作家としても活躍しているそうで、絵はがきなども置いてありました。
 天然氷を作っているところは日本でも数軒しかないらしく、そういう意味でも非常に貴重なお店です。
 というわけで、秩父へ行くことがあったら、是非立ち寄ってほしい阿左美冷蔵さん。とってもオススメのかき氷やさんなのでした。