トーキョーウジキントキ(かき氷専門ブログ)

日本(と世界)のおいしいかき氷を実食&レポートするブログです。2003年スタート、2022年に「かき氷は【夏以外】がおいしいことを伝える」をコンセプトにリニューアルしました。

“香り”が口に広がる:しもきた茶苑大山「かき氷 ほうじ茶」

しもきた茶苑大山(WEB)
東京都世田谷区北沢2-30-2 電話:03-3466-5588 
営業時間:14:00〜18:00、月曜定休

食べたのは…2007年8月
主な値段は…かき氷ほうじ茶 500円、ゆであずき 100円

9月に入り、2007年のかき氷シーズンも後半戦に突入しました(大抵毎年、7月後半〜9月いっぱいくらいが私にとってはかき氷の季節なんです)。東京担当ayanoが今年初めて食べたかき氷の中で、最も心に残っているのを3つ挙げよと言われたら、
埜庵 天然すいか(白桃と相当迷ったんですが……)
柳川氷室のかき氷
そして今回ご紹介する、しもきた茶苑さんのかき氷かな、と思っています(まだ9月になったばかりなのに、気が早い話ではありますが……)。

というわけで、本blogでは3回目のご紹介になる、下北沢の「しもきた茶苑大山」。今回ご紹介するのは、この夏登場した2007年の新作かき氷です。今年の新作かき氷とは、すでに新聞やテレビでもかなり話題になっているこれっ。


shaved ice with heated tea and green tea syrup

「かき氷 ほうじ茶」(500)円に、ゆであずき(100円)を別添えで。あずきはこのように別添えもできますし、かき氷の中に入れてもらうこともできます。氷の中に入れると少し固くなるというか締まるので、とろっと柔らかで水分多めのゆであずきが好き、という人には別添えをおススメ。あずきの横にある黒蜜のようなものは、氷にかかっているのと同じほうじ茶蜜。かなりまんべんなく蜜はかかっていますが、足りないときは足してください、という心遣いです。

あいかわらず「どうやって盛りつけるんだろう?」というくらい背が高い氷(しかもふんわり!)に、店内のあちこちから「すごーい!」と声が上がっていました。友達の頼んだ抹茶氷といっしょに並ぶと、まるで茶色い山と緑の山が並んだよう。壮観……(笑)

崩さないように注意しながらひとさじほうじ茶氷を口にいれると、思わず「!」と表情が止まってしまいました。だって、氷を一口食べた瞬間、パーッとほうじ茶の“香り”が口の中に広がったんですもん。味じゃなくて、香りが広がったんです。これにはビックリ。

ほうじ茶のかき氷自体は、過去にも何回か食べたことがありました。「京はやしや」(やその系列店の林屋茶園など)ではほうじ茶シロップを使ったかき氷を出していますし、茶房・慶茶では2005年の夏に、ほうじ茶を凍らせてかいた氷に、黒蜜をかけるというタイプのかき氷を出しています。どちらもそれぞれにおいしく、「あ、ほんとだ、ほうじ茶の味ね」と思ったけれど……ほうじ茶の“香り”を鮮烈に感じたのは初めての体験。それだけに、かなりビックリしてしまったのでした。

しもきた茶苑のほうじ茶氷は、普通の氷をかいた上に、ほうじ茶から作る蜜をかけたもの。シンプルといえば、これ以上シンプルなかき氷はないのですが、それだけにほうじ茶蜜の味や香りが際だって、「ああ、これはお茶屋さんにしか作れないほうじ茶蜜だ……」としみじみ感じ入ったのでした。

なぜお茶屋さんであるしもきた茶苑さんでかき氷を出すことになったか?という経緯は1回目のエントリを、そして去年の12月に期間限定で出されていたクリスマスツリー氷については2回目エントリをお読みいただければと思います。

1回目のエントリにも書いたように、鈴の茶屋の女将から「お茶屋さんならではの新しいメニューも作ってください」と宿題をだされていた大山さん。かき氷を始めた年(2006年)は、鈴の茶屋のかき氷をいかに再現するかが最大のテーマだったのですが、かき氷2年目の今年、宿題の答えとしてメニューに載ったのが、この「かき氷 ほうじ茶」なのでしょう。大山さん曰く、「まだ『これだ』という蜜の味を、安定して出せるようになっていない」とのことで、ほうじ茶蜜がうまくできなくて全部廃棄してしまった、なんていう日もあったそうですが、私がいただいたほうじ茶氷は、ホントにおいしかったです。鈴の茶屋の女将も、きっと合格と言われるのではないでしょうか?

ところで、ほうじ茶氷の噂は夏のはじめから聞いていたのですが、8月下旬まで食べに行けなかったのにはちょっと訳がありました。

今年、しもきた茶苑さんは東京新聞に載り、読売新聞に載り、テレビにも出演した(ドライアイスでかき氷を作られたらしいです…w)とのことで、お店は大行列。私が行ったときも1時間くらい待ったんじゃないでしょうか。大山家の家族総出でがんばっていらっしゃるものの、喫茶スペースが小さい上に、ていねいにていねいにかき氷を作るので(なにしろあの背の高さ、油断すると倒れちゃいますから……)、なかなかお客が回転しないのです。

こちらのかき氷はホントにおいしいと思うし大好きなので、人気が出るのはとてもうれしいんですが、おいそれと食べに行けなくなっちゃうなー、と、ちょっと寂しくもなったり。しかし、これだけの人がかき氷を食べにやってくる、というのは、大山さんの真摯な姿勢あってこそ。なんだか、応援してるインディーズバンドがあれよあれよというまに大スターになっちゃったような気分です(笑)


こちらは去年からの人気メニュー「かき氷 抹茶」。こちらも背の高いかき氷に、濃厚な抹茶蜜がまんべんなくかけまわされています。手前にあるのは、追加用の抹茶シロップと、別添えのミルク(50円)。「下手な抹茶を飲むより、よっぽど抹茶を味わってる感じ……」と、去年日本語にならない感想とともにこの抹茶ミルクに感涙したことを思い出します。ああ、今年もやっぱりおいしいなぁ〜。

以下、かき氷とはあまり関係のない話です。

茶の湯の科学入門

茶の湯の科学入門

大山さんにはいつも、お茶のことをいろいろ教わっています(かき氷で忙しくないときに)。店頭にもたくさんお茶の本があって、適宜本の記述を示しながらいろいろお茶のことを教えてくださるのですが、今回“お茶の味をいかに出すか?”というテーマで参考文献として示されたのがこれ。実は私、自分で点てる抹茶がおいしくないのが悩みの種だったのですが(独学なもので…)、このお話はホントに役に立ち、目が開かれた思いでした。

それにしても、行列の噂におそれをなして、実はなかなか行けなかったしもきた茶苑さん。9月に入ったら混雑も落ち着くだろうから、また行かなくちゃと思っています。あ、でも9月は臨時休業も多いので、事前にお店のWebサイトでカレンダーを確認してから行ってくださいね。

しもきた茶苑大山

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